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飯田人通信Vol.8 「山本邦彦さん」 イチゴ農家

朝7時、12月初旬を迎えたばかりの飯田の朝。

氷点下にはならないものの、辺りは白い霧に包まれ、刺すような寒さと白い息。そんなパリッとした空気の中、男の人たちの熱い声が折り重なるように飛び交います。

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飯田市松尾にある公設地方卸売市場では、飯田・下伊那・上伊那の約2500戸の農家で作られた野菜や果物のせりが行われています。

独特なリズムを刻むせりの声が響く中、買付の方の目は真剣そのもの。この時期の名産である市田柿が所狭しと積み重ねられ、買付の方が指差す方向を必至に追うも、せりはあっという間に終了。と思ったらまた次のせりがその後ろで始まり、そうやって次々と飯田で作られた野菜や果物が、みなさんの食卓に上がるまでの道のりを流れていきます。

地元の農家の方々がほとんどの割合を占めているこの市場で、Iターンでイチゴ農家を営む方がいました。今回ご紹介する、「山本邦彦さん」です。

自分の故郷を離れ、新しい土地で農家に挑戦する。とても勇気のある決断だと思うのですが、山本さんがどんな人生を歩み、そしてどうやって飯田という地にたどり着いたのか、就農までの道のりやIターンの体験をご紹介します。

 

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山本さんは、愛知県の知多半島に生まれました。海に囲まれて育った環境は、山育ちの私からするととっても羨ましい限りですが、反対に、山本さんは山に対してとても大きな憧れを抱いていたそうです。スキーで長野に訪れるうち、山本さんの山に抱く思いはだんだんと大きいものに。そして、25歳で白馬のスキー場で住み込みで働き始めました。そこでは、同じく長野の山に惚れ込んだ人々が集まる、気の合う仲間ばかりの場所。海外からわざわざ白馬に働きに来ている外国人も多いことに山本さんはとてもびっくりしたと言いますが、それがきっかけで、日本以外の山にも興味を持ち始めました。

「外国からは長野の山に住み込みで働きに来る外国人がいるのに、その逆はない。ニュージーランドも山は多いと聞いて、外国の山でスキーがしたい、と思った。」

そう思いたった山本さんは、白馬で一緒に働いていたニュージーランド人の友人に頼み込み、仕事を紹介してもらいます。

ビザを取ることもとても苦労しながらも、念願のニュージーランドへ。10人もの仲間が住む一戸建てで、相部屋を借り、世界各国から集まった山好きたちとのシェアハウス生活が始まります。まわりは一面山ばかりの環境で、他の事に気を紛らわされることなく、スキー三昧の日々が始まりました。

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自然の山である故に、自然災害は避けたいところ。朝起きると、ダイナマイトを落として雪崩を落とすところから一日が始まります。それでも、雪崩を避けられず埋まってしまったり、ぶつかって100km先の病院へ運ばれたりと、危険と隣り合わせのことも多い生活でしたが、文化の異なる友人たちとの生活は、とても楽しいものでした。食器の洗い方が違っていたり、些細なことはたくさんありましたが、毎日一緒に生活していく中で、話さなくても相手の意志を読み取れるようになっていったそうです。

ニュージーランドでの冬を終え、就労ビザが切れた山本さんは、白馬に戻りました。しかし、冬しか働くことのできないスキー場での仕事、もちろん長くは続けられません。そんな中、白馬のスキー場で働いている人は、農家が多いことに気が付きます。豪雪地帯である白馬の農家の方は、冬は畑が雪で埋もれてしまうため、スキー場で働く人がとても多かったのです。山本さんは、その環境の中で、夏は農家で手伝いをさせてもらい、冬はスキー場で働くというスタイルに自然となっていきました。そこで農業に携わるうち、農業という仕事がとても楽しいものとなり、自分でも営んでいきたいという思いが募りました。周りに相談しながら、長野県内で新規就農を受け入れてくれる所を探し始めます。始めは長野県の北部で探していましたが、なかなか見つからず、たまたま相談した飯田市役所の薦めで、喬木村でイチゴとアスパラ栽培の研修を受けることになりました。そして、2年間の研修を経て、いよいよ自分のハウスを持つことを決意。

しかし、新規就農にはいくつか高い壁がありました。土地探し、家探し、そしてイチゴ栽培の為のビニールハウス探し。ビニールハウスは建てると2千万円以上と費用がとてもかかる為、自分では建てられません。空いているハウスを探さなくてはいけませんが、山本さんは、運よく空いているハウスを見つけることができました。地主さんの事情から、ハウスは手放さなくてはならないとのことで、ハウスは譲ってもらい、土地を借りました。生産するイチゴの種類も決め、自分のハウスでの経営が始まります。

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しかし、イチゴが採れれば売れる、採れなければ売れないと安定しない収穫量に悩まされました。他の方はどうしているんだろう、と周囲の方に話を聞くうち、山本さんは自分の仕事に対する意識がとても低いことに気が付きます。

「Iターンの人に多いんだけど、今ままで勤務時間の中だけ働くという生活を送っていた。朝は8時に始まって、17時には終わる。イチゴ栽培を始めても、時間勤務の間隔が抜けなかった。でも、他の農家さんは違う。日が昇る前から畑に出て収穫、日が沈んでもやることがある。自分の仕事へのスタンスが甘かったことに気づきました。」

?それに気づいてから、山本さんの仕事に対する姿勢は180度変わります。自分の育てるイチゴに全てを注ぎ、栽培中心の生活。そうすることで、生産量も少しずつ安定し、農業が趣味ですと言うほどに、仕事が楽しくなってきたそうです。

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「みんなに美味しいと言ってもらえること、それが心から嬉しいし、それがあるから仕事が楽しいと思える。娘もイチゴは大好きなので、これからも美味しいイチゴを育てていきたい。」

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―どうして山本さんは、飯田という地域を選んだのですか?

「山が大好きなので、長野県というのは絶対でした。その中で、新規就農の受け入れ制度があったここに魅力を感じたのが一番の理由です。研修もして頂けて、Iターンするに人にとってはとてもいい環境でした。長野は雪国だと思ってましたが、飯田はそうでもない。冬寒くなり過ぎないのは、ハウスをしていてとても助かっています。」

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