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飯田人通信Vol.15 「碓井 昭司さん、久美子さん」 大鹿村古民家レストラン カフェかわらしま オーナー

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「人生の楽園」

下伊那郡大鹿村、山の中の中まで巡る細い道を上がった先に、携帯の電波も届かない、そこは神秘の場所でした。

テラスで過ごす、なんにもない時間。
山の間を通り抜ける風は、木々から受け取った自然の息吹を、心地よい温度で届けてくれます。

「人生の楽園ごっこをするのがね、楽しみなんですよ。」

同じ景色を見ながら、同じテラスの席で、同じ風を感じながら過ごすお二人が出会ったのは、それぞれのパートナーとの別れを経た後のことでした。
仕事も勤め上げ、自分の好きなことをしよう。
そうして通っていた料理教室で肩を並べていたお二人は、そこで惹かれあいました。

「奥さんが亡くなって、もう人生はこれで終わっていくだな、とぼんやり思っていた時でした。」

一度だと思っていた人生に訪れた、二度目の春。

久美子さんが亡くなった旦那様と営んでいた大鹿村の民宿に二人で訪れたとき、
釣りが目的の小さな旅が、新たな人生の幕開けとなったのでした。

「一回だと思っていた人生が二回になるとは、思ってもみませんでしたよ。おかげで、今生きている瞬間を存分に楽しみたいと思っています。あと何年生きるのかな・・と考えているうち、一日をとても大事に過ごせるようになりました。楽しいですよ、毎日。本当に。」

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古民家を改装した「カフェかわらしま」ですが、古い柱がとてもいい味を出す中で、巻ストーブに漆喰、石でデザインされた床と壁が、古民家を改装したとは思えないほど素敵なレストランです。
Iターンで大鹿村へやってきた大工さんが、一年かけてこつこつと改装し、配慮が隅々まで行きわたっているせいか、ここに座っていると心が落ち着きます。

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小さい頃から、料理を作ることが大好きだったという旦那様。
中学生のころは、紅茶にはまり、おこずかいでリプトンを買っては飲むという、当時の中学生では珍しいお金の使い方だったようですが、同級生には料理の腕はお墨付きで、碓井さんの料理を食べることがみんな楽しみだったそうです。

料理は好きだったものの、社会人になってからは別の道へ。
それでも、結婚生活では、料理は碓井さんの担当だったそうで、日々、料理の腕を磨いていきました。

陽が昇り、そしてまた日が暮れていくうちに、いつか自分の店を持とうと心に決めていた碓井さん。

こうして第二の人生で自分の夢を叶えた今、趣味が仕事、仕事が趣味になるという天職に辿り着きました。

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カフェかわらしまでは、「負け席」というものがありません。

大鹿村は、秘境という名がつくほど、ここに来るお客様は全て、大鹿村に観光に来ているお客様です。
そんなお客様が楽しみにしている食事の時間
「あそこの席がよかったな」
というような、席に格差があってはいけない、という気遣いからです。

どの席に座っても、それぞれの楽しさ、居心地の良さがある空間にしたいという、お二人の心意気です。

もちろんそれは、メニューにも。
手打ちパスタと手打ちうどんは、旦那様が。
デザートは奥様が担当されているのですが、これがどれも本当に美味しい。

「良いものを使えば、必然と美味しくなる。バターやチーズを、何かで代用するなんて絶対にだめ。大鹿村では、美味しいチーズも、野菜もなんでもある。幸い、私たちはビジネスは二の次なので、どれも食材を贅沢に使ったら、すごく美味しくなっちゃうんですよ」

旦那様の、してやったり!という笑顔。
でもパスタを食べて、納得でした。ホタテの身がふんだんに使われたソース、チーズの味がどこまでも口に広がるホワイトソース
今回は祖母と母と訪れましたが、小食な二人がお皿のソースまでペロリと平らげていたところを見ると、悔しいですが、あの笑顔に完敗です。

そして最後にテーブルに幸せを運んでくれたのが、デザートです。

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白玉に、マカロンに、アイスクリームに・・・これぜーんぶ、奥様の手づくりです。
アイスクリームも、余計なものは一切入れず、純粋な味。

景色を見ることを忘れてしまうくらい、美味しい食事に魅了され、気が付くと昼食を終えた農家の方が午後の作業を始めていました。

腰を曲げ、田植えに勤しむのは90歳を超える方々ばかり。
都会では人生の最後を施設で終える方が多い中、大鹿村ではお年寄りもみんなが元気で、朝から晩まで働く姿が本当に美しいとお二人は言います。
綺麗な景色だけではなく、こうやって、人々のパワーや自然の力が漲る村だからこそ、訪れる人を魅了してしまう何かがあるんですね。

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(かわらしまの営業部長)

古民家レストラン 南信州大鹿村 自家製生パスタ&自家製うどん カフェかわらしま

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