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『ピオニエ』の地 増野でワイナリー  信州まし野ワイン株式会社 

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南信州松川町、果物の豊富なこの町の標高750mのりんご畑の中に、この洋風の建物が現れます。

『信州まし野ワイナリー』。飯田下伊那唯一のワイナリーです。 (今回お邪魔したサイト http://www.mashinowine.com/index.html

私は今回初めてお邪魔したのですが、この先にワイナリー?と、少しドキドキしながら果樹園に囲まれた坂道を登っていくと、眼下に伊那谷を一望できる高台にそこはありました。

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本来なら写真の奥には南アルプスが一望できるのですが、この日は連日35度を超す猛暑が続いており、暑さで霞んでおります。

そうは言っても天竜川沿岸に比べれば2~3度は気温が低いのと、果樹園の間を通り抜ける風の心地よさで、飯田市内からお邪魔した者にとっては避暑を感じる場所でした。

社長の宮沢喜好さん。宮沢さんが手に持つ7月中旬のリンゴは青々とし、暑さも養分に「逞しく」大きくなろうとしていました。

逞しく・・・。まずはこの地にワイナリーができた歴史から。

 

戦前この増野地区は雑木林で、木を切って薪にしたり、刈敷(木や草を腐らせて肥料として使う)をするなどしてこの雑木林を利用していました。

しかしながら当時は人気もなく、大きな木がそびえ立つ不毛の地。

戦後、食糧難や人工増加に対する国の政策として、食料増産や仕事を増やすためにこの増野の雑木林を切り開き開拓したのが、外地から帰還した『増野原開拓組合』。

やがて雑木林は開拓団の手により、農地に生まれ変わりました。

もともと水の少ないこの地に適していたのがリンゴやナシの果樹。これらは比較的水を多く必要としなくて育つ逞しい農産物。

開拓2世の宮沢さんらの時代になってもその「逞しさ」はそのまま受け継がれました。「逞しさ」とはリンゴの生育だけではなく、開拓団の精神の根源である「逞しさ」も共に。

宮沢さんを含めた3人の方が中心となって1987年(昭和62年)、周辺農家が集まり青果物だけではなく、リンゴなどを加工してジュースを作っていこうと『増野りんご加工組合』が発足されます。

その後リンゴ果汁貿易の自由化により、果汁が海外からどんどん入ってくるようになり、ジュースだけでは・・と。

そしてそれを機に1991年(平成3年)、ワイン加工も始める形で『信州まし野ワイン株式会社』が設立されました。

「増野原開拓組合は発足当時30戸だったんですが、その後離農するところはほとんどなくて、高齢を理由に離農された方はいますが、現在まだ28戸を残します。当時から結束力が強く、団結力が強かった証拠でしょうね。」

 

果樹の加工やワインを作り始めて31年。ワイナリーの販売所には多くの商品が並びます。

ワインや発泡酒、ジュースなど商品は30種以上。

ブドウ、リンゴ、洋ナシなどのワインはもちろんのこと、ワインの生産を始める前から主力に加工販売されていたジュースもずらりと並びます。

「工場が小さく大量生産ができない・・。どうやったら喜んでもらえるか考えました。リンゴにはふじ、王林などの品種があり、品種ごと丁寧に手絞りし、加糖も加酸もせず、そのまんまの味を味わってもらえればいいんじゃないかと。始めた時から30年ずっと続いているやり方で、自分たちでも驚いてます。皆さんに喜んで頂いているってことでしょうか。」

人が味に手を加えると、毎回一定の味にはなるけれど、それが果実そのままの味になるかといえばそうではない。その年のその品種そのままの味を味わってもらうには、このやり方を変えられない。搾汁袋で手絞りすると、灰汁や雑味のないすっきりとした果汁になるそうです。

ふじは甘味と酸味のバランスが優秀。王林は甘味が多く濃厚な味わい。紅玉は酸味が強く爽快感。・・こんな形で品種それぞれの味の特徴がそのまんま。

他にもリンゴはつがる、シナノスイート、シナノゴールド、ほかの果実では巨峰、桃、ラ・フランス、プルーン、山葡萄、梅・・。飲み比べが楽しそうです。

      

ワインはぶどうはもちろんですが、リンゴや洋ナシのワインもおすすめ。洋ナシのワインの名前になっている「ピオニエ ポワレ」の『ピオニエ』は仏語で「開拓者」の意味。彼らの精神を受け継ぐ気持ちが込められています。とろりとした口当たりと芳醇な香りが特徴です。

昨今飯田下伊那で盛り上がりをみせているリンゴの発泡酒シードルですが、この信州まし野ワインでは10年ほど前に先駆けとしてシードル製造を行っていたそうです。なんと!その時に「世界のシードル」の一つとして紹介された図鑑です。一番中央のリンゴの絵のラベルの瓶。すごい!

その後シードル製造は一旦中止されたのですが、3年ほど前に復活。

7月に敷地内に「ピオニエ蒸留・加工工場」が増設され、これから発泡酒の製造により一層力を入れられるそうです。

「松川町のリンゴ生産の歴史は100年余りになります。町が団結してリンゴの産地として頑張っているけれど、近年人口減少や果物を食べない人も増え、リンゴや青果の産業は衰退地味。青果の消費は伸び悩んでいますが、加工産業で生き残れる可能性があります。これは新しいチャレンジになるし、地域の盛り上がりになる。リンゴの産地でリンゴのワインやシードルやジュースを作ることはこれまでやってきた方々のためにもなると思って。」

先ほどのラ・フランスのワインの名前に『ピオニエ』が入っていましたが、シードルの名前も『ピオニエ シードル』。

『ピオニエ』の地の新しい商品に最高の名前です。

 

洋館の1階の販売コーナーに入ると、スーッとエアコンではない心地よい涼しさを感じました。

実はこの建物の下を開拓の時代から大切にしていた貴重な水路が、庭から流れ込んでいるそうです。

貴重な水路は、自然のクーラーの役割も果たしていました。

 

 

広い敷地の中にはこんなところも。

       

ヤギの牧場「ふれあい牧場」。伊那谷一望です。

さいこーです!!! この日はとにかく暑すぎましたが、空気が澄んだ日なら対岸に南アルプス。眼下に天竜川が見渡せるはず。

思いっきり深呼吸です。ヤギさんがうらやましい。

「先人の戦後の苦労を思えば、今の苦労なんてって思います。開拓者の『苦労はあたり前。逆境に負けない。』の精神はいつまでも持ち続けてね。」

宮沢さんの日に焼けたお顔と腕からは日々のご努力と、これからも変わらないお仕事への情熱が感じられました

この増野の地で果樹を栽培を続け、加工という分野も切り開き、新しいチャレンジをしていく。

簡単なことではないけれど、開拓者の精神は確実に受け継がれ、今を生きる。

そんな方々が作られる商品は魅力的だとを感じました。

 

信州まし野ワイン株式会社

長野県下伊那郡松川町大島3272

電話 0265-36-3013    火曜日定休

 

 

 

 

 

 

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