十年来の友人でも、ずっと一緒にいる家族でも、ふとした瞬間に自分の知らない一面を見ることがあります。
全部知ったような気になっていたのに、もっと知りたいと思うあの気持ち、私は好きです。
イチョウの葉っぱも色づき始めた週末、飯田歴史研究所による町歩きイベントがありました。
飯田市の街、通称「丘の上」を、歴史を振り返りながら歩こうというイベントです。
私が住んでいた家から、歩いて30分圏内。
小学生のころはあちこち歩いて、大人が知らないような小道も当然私の頭の中には書き込まれています。
大人になってみてから歩くとまた違うかも、と気軽に参加したこのおさんぽイベントでしたが…
飯田の街は、奥が深かった。
研究所の方が作られたこの地図には、川から細い水路まで、細かく書き込まれています。
水路は、昔の人々が生活していた様子を見るのに大事だそうで、この流れに沿って人々は家を織りなしていたようです。
城下町として栄えていた飯田の街ですが、昭和22年の大火で多くが焼失してしまいました。
しかし、そこから新たに人々が作った町は、古い昭和の時代を思わせる小道と新しい家が混在して、懐かしさと、新鮮な街並みが広がっています。
ゴールである丘の上が見える場所から、おさんぽスタートです。
丘の上から下に広がる街を見渡せるこの道を通って、飯田の街中へと入っていきます。
~くつわ小路~
馬場長の南側にある細い小路では、江戸時代に飯田藩の足軽たちが生活する長屋が存在し、昭和30年代まで続いた飲み屋や小料理屋が、今でもその面影を残しています。
飯田台地の中心を流れる谷川は、今でも独自の景観を形成していて、そこに通じる小道を発見。
こんな小道があったなんて、と思いながら
好奇心をめいっぱい抱きながら一歩一歩を踏みしめました。
谷川を中心に家々が取り囲み
人が住んでいる気配はあまり感じられませんでしたが、昭和の懐かしい匂いがしました。
時代が止まっているようで、なんだかタイムスリップした余韻に浸りながら、小道を背にしました。
こんな素敵な場所が、もう一度栄えたら、きっと面白いんだろうなーなんて思いながらの、おさんぽ。
学生で県外に出る前、飯田はもう面白くない、飽きたと思っていたあのころ、私はなんにも知らなかったんですね。
20年以上住んでいるこの街の知らない顔をたくさん知ることができて、ますます飯田が好きになったようです。