長野県のウィンタースポーツと言えば、スキーやスノーボード、スケートが人気ですよね。実はその裏でじわじわと人気が出てきているスポーツがあるんです。

トライネット不動産と同じテナント内にある、「クライミングジム・DUMBO」は、昨年オープンした、ロッククライミングを室内で練習する為のボルダリングジムです。

オーナーである伊原さんが選んだセンスのいい音楽と、挽きたてのコーヒーの香りについつい引き寄せられ、お店の中を覗いてしまったのが、このインタビューのきっかけになりました。

冬にロッククライミング？って最初は想像できませんでしたが、意外にも冬がベストなシーズンなんだそう。

そんなロッククライミングを室内で楽しめるジム、「クライミングジム・ダンボ」は、伊原さんご夫婦二人で切り盛りしています。ここにお店を構える前は、神奈川のクライミングジムで働いており、Iターンで飯田に来て、自分たちのお店をオープンしました。

「飯田には、近くに良い岩場がたくさんある。ロッククライミングを楽しむにはとてもいい場所」と、オーナーの伊原さんは飯田をとても気に入ってくれています。

（お客さんたちと一緒に、自然の岩でロッククライミングをするイベント）

幼少期から、山登りが好きな両親に育てられ、長期休みは必ず山に登っていたという伊原さん。一度山に登ると三日は山から下りず、山から山へと移動していく本格的な登山一家。そしてそれが、伊原さんに大きな影響をもたらしました。
「とにかく、山に登ることが大好きでした。一度山に登ると、降りたくなくなってしまう。」

当時小学生だった伊原さんですが、山登りをしているうち、山の魅力にどんどん吸い込まれていったそうです。子供の頃のスポンジのような感性で、山で見るもの聞くものをどんどん吸収していったのでしょう。そんな中で、伊原さんも説明できない、不思議な感覚を味わったと言います。

「そういうことを言葉にして表わしたことがないから説明しづらいんだけど、山に登っていくと、ある所を境に、空気がガラッと変わるんだ。空気が変わるというか、もう違う世界に足を踏み込んだような。具体的に言うと、森林限界っていう、一定の高さまでいくと背の高い木が生えなくなるんだけど、そこまで行くと、山から山へ渡る風を、直で体が感じるようになる。その瞬間、あ、今空気が変わったなって感じる。」

店舗内の本棚には、ナショナルジオグラフィックと風の谷のナウシカが並んでいます。私もビデオテープが擦り切れるほど大好きだったナウシカの世界、人工的な手が加わっていない、自然のあるがままの神秘的な空間を、伊原さんも体感したのでしょうか。

「そう！まさしくそれだと思います。僕がナウシカを好きなのは、山に登っているときに感じた空気が、ナウシカの世界観ととても似ていると思ったから。たとえば、よく漫画とかであるんだけど、静かな時ってシーンっていう風に表現する。あれって、シーンっていう音がしてると思うんだ。山の中でも、なんの音も聞こえないっていうのはあるんだけど、シーンっていう音ではなくて・・・なんていうのかな・・」

「シーンって音、山の中では聞こえないんだよね、不思議と。」

幼いときから自然を肌で感じていた伊原さんは、自然と共存していくという思いがとても強い方だと話していて感じました。そんな伊原さんは、とにかくシンプルな生活を心がけているそうです。あれが欲しい、これが欲しいといった物欲よりも、山登りをしていた時のように、自分の中で挑戦することにとても重きを置いています。
ボルダリングに出会ったのも、自然の流れでした。

「ボルダリングは、挑戦と克服の繰り返し。隣の人を見て、あの人は私よりできるできないではなく、見つめるのは自分自身。他人と比較するのではなく、あくまで自分との戦い。できるかできないかの微妙なラインでいることが、すごく楽しい。そして、できたときの達成感は、もう言葉では表せません。」

自分がやるだけでなく、教えることも好きだという伊原さんは、ジムではコーチとしても、初心者にもわかりやすく教えてくれます。

イベントも多く、お客さん同士で集まって、岩場を登っているそうです。
唯一の休みも、お客さんとのイベントに積極的に出かける伊原さんは、お客様への感謝の気持ちと、日頃の思いを還元したいそう。

オープン３ヶ月で、すでに会員６００人を超えた「クライミングジム・DUMBO」
興味がある方は、出かけてみてはいかがでしょうか？