天龍峡に素敵な古民家カフェが!
私事ですが、天龍峡は私の中学時代の通学路。当時毎朝、毎夕歩いて通っていたその場所は、かつての賑わいは欠いているものの、「飯田いいとこランキング」では近年第1位に輝く飯田下伊那の誇るべき観光名所。
そんな私にとっては懐かしく、また今でも生活拠点にほど近い観光名所に新しい憩いの場所、古民家カフェがオープンしたと聞き、嬉しい気持ちを抱きながらお邪魔してきました。
店名は「テンリュウ堂」。
開業80年余りの土産物店「天竜堂」の名前と建物をそのまま残し、内装をリノベーションして今年4月27日にオープン。お邪魔した日は近くのお母さんたちの懇親ランチ会や、観光の方、お近くの常連さんでお店は満員状態!お客さんがひいた夕方にお時間を頂きました。
「テンリュウ堂」オーナーの折山尚美さん。
市内で飲食店など4店舗を経営する「株式会社 松沢」の取締役として、これまで古民家や蔵をリノベーションし飯田の市街地などの活性化に取り組む中、昨年設立された一般社団法人「空き家人情プロジェクト」の理事となられ、今回のカフェのオープンと経営の中心的存在です。
「地元の方たちが温かくて。オープンを喜んでくださっているようで、今日のも近所の方がカレーのテイクアウトをしてくださったんですよ。」
もともと「天竜堂」の娘さんが「松沢」の別店舗「Cafe Fukuume」のお客さんで、このお店を何とか生まれ変わらせてほしいとご相談があったのがきっかけ。今では元のご主人も喜んでくださり、野菜や内装のための木材などいろいろ持ってきて下さるそう。
リノベーションには元の店舗や住居に使われていた木材を使ったり、地元の皆さんから使わなくなった家具を譲り受けたり、小学校で使わなくなった椅子などをいただいたり・・・。いろいろな方たちの協力があったとのこと。「天竜堂」をそのまま「テンリュウ堂」にしたのも、これまでここに根付いたものを大切にしたいと思ったから。
町の中の1つの変化が、喜びと期待を生んでいるんだと思いました。
数人の方の共同経営の形として曜日別でランチの内容が違います。例えば月・火は「やんやん」さんのランチ。水曜日は「タベル」さんのパンのランチ。木曜日は折山さんの薬膳料理。金曜日はカレー。作り手もスタッフもその日によって変わる仕組み。
共同経営者であり、カフェのランチと手作りお菓子担当の矢沢えりさん(左)、矢沢啓史さん(右)ご夫妻。本業は美容師さんですが、啓史さんは忙しい時には接客もされます。そして啓史さんの背中越しに映っている扉は、リノベーションの時に出た廃材をご自身で寄木して作ったそうで、お店のよいアクセントに。
お店の中には作家さんの手作りの雑貨も並びます。
本日はカフェのメニューを頂きました!塩キャラメルパンケーキとアイスカフェオレ。
見た目以上の美味しさにこの上ない幸せを感じながらいただきました。
友人と会話をしながらいただくのももちろん楽しくて美味しいのですが、一人でゆっくりお店の雰囲気を感じ、窓の外の天龍峡の景色を見ながら、パンケーキやカフェオレをじっくり味わうのも良いもんだなぁと。
こちらは折山さんお手製のピクルスです。
ブロッコリー、レンコン、キノコ、キュウリ、赤かぶ、ズッキーニ、山椒など・・・。お邪魔した日がカレーランチの日だったので、カレーとこのピクルスの相性は最高だろうなぁと想像しながら頂きました。絶品です!
「人は好きなんですけど、お金については苦手で・・」と折山さん。
新潟県ご出身で、障害者支援のボランティア活動をされていた時に下條村から学生として新潟に来ていたご主人と出会い結婚。医療事務の仕事をしていた頃に自身のお父様が他界され、医療とは別の世界で働きたいと思うようになったそうです。エステを学び、また予防医学『アーユルヴェーダ』の資格を取り、より健康に長寿や若さを保つことを学び。それらを生かしたお店もオープンさせました。
これまで「松沢」の店舗オープンは、誰かが「私はパンを焼くのが得意」「私はコーヒーを焙煎して淹れるのが得意」そういった人の集まりによって出来てきたことといいます。
「ここ天龍峡にもいろんな人が集まって、空いた店舗や場所をお借りして再生の為に出店して、それぞれの活躍の場になっていってくれるといいなと思っています。このお店がそんな方たちの修行の場になるのもいいかもって。」
『儲ける』目的よりも、自分のやれる可能性を発信して、人に触れ合い、喜ばれ、笑顔になれる。自分の生活に十分くらいの報酬があれば言うことなし。
「だから今、幸せですよ。」と折山さん。
目からうろこです。
人が幸せを感じる形って、そういうことでもあるんだ!多額のお金じゃないんだ・・。自分のやりたいことで誰かを笑顔にして、そして収入を得て・・。
折山さんのキラキラした瞳から、折山さんが今本当にそうであることを納得しました。
三遠南信自動車道も今年3月に龍江I.C.から飯田上久堅・喬木富田I.C.まで延伸し、来年にはいよいよ天龍峡I.C.から龍江I.C.までが開通予定です。全線開通はまだ先になりますが、天龍峡が通過点ではなく、数時間でも立ち寄りたくなるスポットになってほしい。
1つのカフェのオープンは、確実にこの天龍峡に新しい光と風を運んで来ていると感じました。
テンリュウ堂
〒399-2731 長野県飯田市川路4919
TEL0265-55-2052
営業時間10時~17時 (16時30分 ラストオーダー)
JR飯田線天龍峡駅 徒歩1分